クラウドワークスさんは、仲介業者として大手企業の案件なども扱っているため、やりがいのあるチャレンジになる場合もあります。ライターをやっていて、かれこれ7年近くクラウドワークスさんの案件を受注しています。
クラウドワークスさんは、文字単価も魅力的な案件もあり、業務を通したビジネスの出会いも期待できるでしょう。ただし、何とかしてほしい点は、多々あります。現状では、ワーカーの業務量が限りなく増えて生活が成り立たなくなる可能性もあります。その不安材料をここに紹介しましょう。
FB(フィードバック)5つの落とし穴
フィードバック(FB)は、クライアントが納品した記事について、確認したうえで修正箇所などをコメントで指摘する行為です。ライターのスキルアップやレギュレーションのすり合わせには効果があります。
納品物がクライアントの満足いくものではない場合は、FB(修正依頼)だらけで真っ赤になることも考えられます。もしかしたら、全文書き直したほうが良いともいえる状況もなくはありません。
クライアントがワーカーと一緒に、コンテンツの品質を高めようと考えている場合はFBの有効性を感じます。ただし、FBには、落とし穴があります。それは、FBを逆手に取った報酬の詐取です。
報酬の詐取が疑われる①:追加文章の要求
もし、執筆のお仕事が依頼時に文字単価2円で3,000文字だった場合、完成時の文字数を3,000文字以内で納めれば文字単価は2円以上になるでしょう。ただし、クライアントの立場をくみ取ると着地文字数を多少オーバーするほうが喜ばれます。
私も日ごろから着地文字数に対してプラスアルファ500文字以内は、次回の依頼をいただくための配慮と考えて取り組んでいる状況です。自分の中にルールとして落とし込んでいるので文字数超過の許容範囲と考えています。
ただし、FBのコメントで修正依頼を受け、最終的に着地文字数が4000文字や5000文字まで膨れ上がった場合は、その時点で文字単価は2円ではありません。契約金額が6,000円だった場合は、5000文字まで増えてしまえば、文字単価は1.2円です。
つまり、このクライアントさんはFBで調整することを目論んで、最初から文字単価1.2円で書くライターを募集していたといわれても弁明の余地はないでしょう。
もし、そうではなく紳士的なクライアントさんの場合は、「超過分をお支払いします」と先方から言われるケースもあります。追加で不足分を支払っていただいた場合は、そのクライアントさんに対して「良いコンテンツ制作に向けて妥協をしていないんだ」と肯定的にとらえられます。
ただし、最近のクライアントさんはそのような人ばかりではありません。報酬額を下げることばかりに躍起になっている企業もいるので注意しましょう。
対策は、契約前の確認ですね。最大文字数は何文字になるのか?もし、納品物のチェックで文字数が追加になる場合の追加報酬の有無などもあわせて確認しておく必要があります。
報酬の詐取が疑われる②:不要だから削除を求めた文章を削除せず付け足し利用
よくあるFBで、見出しごと「この項は不要のため削除」と指摘される場合があります。着地文字数が3000文字の場合、一つの見出しを削除してしまうと、必要文字数に満たなくなってしまうでしょう。
そのような指示を出すクライアントさんの場合は、追加で新しい見出しの執筆を求めてくるケースもあります。ただし、このようなケースも報酬の詐取につながりかねません。
Googleドキュメント上でやり取りする執筆案件は、コメントで編集「提案」モードなどが選べます。最終的にクライアントがコメントで依頼した修正対応に「承認」することで削除や追加などが反映します。
また、「承認」後にFBの落とし穴的な要素を使えば、削除した記事は再生可能です。Googleドキュメントの「履歴」機能を使えば、時系列で作成記録を確認でき、その履歴状態がエクスポートできます。
つまり、削除したはずのコンテンツは後から復活できるため、結果的に付け足した文字数分だけ文字単価は安くたたかれることになるでしょう。
この件については、業務に着手する前のレギュレーションの共通認識が重要です。業務依頼内容を提示された場合、その点も踏まえたチェックをし、疑問点は着手前にすり合わせておく必要があります。
とくに、構成案に対して文字数を求めてくる場合は、各見出しごとに「文字数が適正か」を確認しましょう。また、現在の構成案に対して「追加される予定」なども事前に確認しておくべきです。この辺の確認を怠ってしまうと、自ら労力を詐取されるライターのままで終わってしまいます。
報酬の詐取が疑われる③:制限のない画像や図表などの作成を要求
クライアントさんによっては、画像や図表を求めてくるケースも少なくありません。とくに、ツールの利用手順やアプリの導入方法などの解説コンテンツでは、実際に利用しているキャプチャ画像は効果的です。キャプチャ画像の挿入や図表の作成などの労力も、FB担当者次第で異なります。
- 「もっとステップごとの画像がほしい」
- 画像の大きさを「縦〇px横〇px」に調整してほしい」
- 画像ごとに「alt」タグを設定し「画像の説明文」を入れてほしい
- 図表はtableタグで記述してほしい
など、要望としてはコンテンツの見栄えや理解度を高める目的として必要な取り組みだとは思います。なので、否定はしませんが、その対応にかける業務報酬をボランティア化していませんか?ということです。
画像や図表作成は、おまけではなく業務として時間と労力をかけます。そのため、かけた労力に対しての対価は必要ではないでしょうか。もし、クライアントさんの中で「しめしめ、安く請け負ってもらえた」と笑っている人がいるのであれば、生成AIでシステム化してはいかがでしょうか。
この件については、事前のすり合わせが必要です。
- 画像が何枚必要なのか?
- 画像作成のルール(ファイル形式、縦横比、解像度など)
- 図表作成のルール(比較表の場合の項目数など)
画像や図表作成に求められるクオリティが高ければ、別途作成料金をもらえるか?や全体的な記事単価の見直しなども提案することが大切です。もし、制限がなければ想定以上の画像作成をボランティアで求められるかもしれませんよ。
報酬の詐取が疑われる④:レギュレーションに記載されていない修正依頼(思いつきに近い)
レギュレーション自体がないことは、目的もなく記事を書くことに近い状況です。また、レギュレーション自体が大雑把で簡単な内容であれば、後出しじゃんけんの可能性も考えられます。
たとえば、レギュレーションもなく、「ライターさんの書き方で進めてみてください」と仕上げた納品物に関して、必要以上に修正依頼をしてくる常軌を逸したクライアントさんもいました。
ならば、最初からその要望を「レギュレーションに記載しておいてほしい」と強く願います。時間は有用です。有用だからこそ、最初の準備に余念がないことは重要な取り組み。お互いに誤解の修復に時間を割いていたら本末転倒ではないでしょうか。
クライアントさんに辞めてもらいたいことは、レギュレーションに記載されていない後出しじゃんけん的な「思い付きの修正依頼」です。思い付きでやり取りできるのは、会社と雇用関係にある従業員であれば仕方ありませんが、業務委託関係では報酬の詐取につながります。レギュレーションに記載されていないのだから、当然やるべきことではないです。それを平然と追加要求してくる行為は、ライターの売上に大きく影響します。
報酬の詐取が疑われる⑤:3回以上の修正依頼(指示が具体的ではない修正)
報酬の詐取が疑われる行為は、キリのないフィードバックです。そのようなタイプの人は、フィードバックすることに快感を得ているような対応が見受けられます。むしろ、FBしないと気が済まないFB中毒のような人ですね。
フィードバックで改善するかどうかは、世に出してみないとわからないことのほうが多くないですか?そもそもコンテンツを読む対象は人間ですよ。御社のサービスを利用する御社よりも知識に欠けている素人です。
ペルソナの設定でも対象読者は変わりますが、複数回の修正が逆に本末転倒となる可能性もあります。どうしてもフィードバックをしないと気が済まないクライアントさんは、逆に回数を決めてもらいましょうよ。
業務に着手する前にFB3回以上を予定している場合は断る理由になるかもしれません。また、FBの指示が具体的でなく抽象的なパターンも良くないケースですね。
FBの内容が「この項の内容だと理解できないため、他の内容に差し替えてください」というFBだった場合、差し替える他の内容に納得してもらえなければ何度も修正しなければなりません。冗談ではなく、納得いくまで納品も完了しないかもしれませんね。
ここまで行くと、業務ではなくFBを担当するディレクターの裁量次第と考えられます。その方の裁量に付き合わされて報酬が先送りになる危険性があります。これは、業務委託の立場であるフリーランスにとっては由々しき社会問題にもなるでしょう。
FBを第三機関もしくはシステムに委ねられないか
私は、クライアントさんの立場も踏まえて受発注の両社がウィンウィンになるシステム作りが必要だと考えています。FBを発注者が担当する場合は、具体的な成果地点の明示(精度の高いレギュレーション)がなければ始まりません。
クライアントさんの中には、レギュレーションを作る時間や労力がないから、目視で判断するという考えの企業もいるでしょう。しかし、そのような状況におけるFBでは、報酬の詐取となる可能性もあります。
そこで私が考える提案は、FBを第三機関もしくはシステムに委ねて公平な状況で行うことです。もし、クラウドワークスさんに余力があるのであれば、FBシステムを導入してほしいですね。
総論
FBは、ライターの成長に欠かせないコンテンツの品質向上手段です。ただし、使い方を間違えるとライターの報酬を詐取する道具にもなります。生成AIでも記事をかける時代に必要なことは、手づくりの記事をクライアントさんとライターが共創して手掛けることではないでしょうか。
ぜひ、他にも知恵があったらコメントくださいね。
最後まで読んでもらえて光栄です。